民間施設の3番目に紹介するのは「サービス付き高齢者向け住宅」です。
自立した健康な方、要介護度が比較的軽度な高齢者向け民間施設で、安否確認や生活相談サービスを提供してくれます。食事や介護サービス提供の有無、内容などをしっかりと確認しましましょう。
介護を受ける場ではなく、「生活する場」
「サービス付き高齢者向け住宅」とは「サ高住」とも呼ばれることが多い民間施設ですが、そのネーミングから介護付きの高齢者施設を連想しがちですが、そうではありません。実際は、まだ介護の必要のない比較的元気な高齢者向けの民間賃貸住宅を指します。
高齢者住まい法に基づき、バリアフリー構造など高齢者が安全に暮らせるように配慮されています。国からの補助金や税制面での優遇措置もあって、2011年の制度開始以来、急増しています。「特養(特別養護老人ホーム)」などの公的な施設がなかなか数を増やせないまか、高齢者の受け皿となる民間施設として注目されており、国は2020年までに60万戸にまで増やすことを目標としています。
必ず付いている(=法律で義務付けられている)サービスは「安否確認」と「生活相談サービス」のみで、日中はケアの専門職が生活相談などに対応するものの、夜間は職員が常駐しない施設も多いです。
入居対象となるのは、原則自立、または軽度の介護を要する人となっています。介護サービスが必須ではないので、入居者にとっては、自由度の高い生活が送れるのがメリットで、配偶者や60歳以上の親族との同居が可能な場合もあります。(個人のライフスタイルに合った暮らしをカスタマイズできる点が魅力です)
「原則自立、または軽度の介護を要する人」が対象とは書きましたが、食事の提供や家事支援などの介護が必要な場合には、オプション料金を払って「居宅サービス」として追加できますので、実際には「要介護5」の高齢者でも受け入れる施設が少なくありません。ただし、認知症や看取りに対応しているところは比較的少ないのが実情です。
居室は1人用と2人用があります。個室の広さは原則25㎡以上となっていますが、18㎡のところが多いのが実情です。生活する場として考えた場合、やや手狭となる点は否めませんので、共用スペースでその分を補っているかなども重要な確認ポイントとなります。
オプション料金で個別サービスを提供
「サービス付き高齢者向け住宅」ごとにケアの内容は大きく異なります。前章でも書きましたが、多くの「サービス付き高齢者向け住宅」では、オプション料金を支払うことで、食事の提供がなされ、家事支援などのサービスが行われています。
介護が必要になったときには、敷地内に介護サービス事業者が入っているところが多く、各自が契約することで自宅にいるときと同じように介護保険の居宅サービスを利用することができます。
一方で「サービス付き高齢者向け住宅」の特色の1つに「入居一時金が不要」だという点があります*。重い介護が必要になれば済み続けることができなくなる可能性はあるものの、一時金を払っていなければ、入居後も退去の決断がしやすい、というように考えることもできます。
* 一部、「入居一時金方式」を選択できるところもあります
サービス付き高齢者向け住宅の特徴をまとめると・・・
「サービス付き高齢者向け住宅」の特徴をまとめると、以下のようになります。
【まとめ】
「サービス付き高齢者向け住宅」は自立した健康な方、要介護が比較的軽度な(元気な)高齢者向けの民間施設です。
- 有料老人ホームより比較的低コスト
- 介護保険は、個別に契約して「居宅サービス」を利用する形をとる
- 通常、比較的元気な方を対象としているが、要介護5の方を受け入れるところもある
- 認知症に対応しているかどうかは施設ごとに要確認
- 看取り対応しているところは少ない
- 入居の条件は原則60歳以上。ただし、要支援・要介護認定を受けていれば40歳超からでも入居可
- 介護・看護職員の配置基準はない。ただし、ケアの専門家が少なくとも日中は建物に常駐(夜間は不在が多い)
- 居室は1人用、2人用がある
- 全国どこへでも申し込める
- 申し込みは直接施設へ
・・・以上が「サービス付き高齢者向け住宅」についてのご紹介でした。
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