何がキッカケになるかは人それぞれかもしれませんが、知らず知らずのうちに借金が膨れてしまい、気が付くと利息の支払いだけで汲々とする生活になってしまう。
自分はそうはならない、と誰もが考えていますが、債務整理や自己破産に陥る人は後を絶ちません。
ここでは債務整理の手続きを考える前にすべきことについて書いてみます。
まず最初にすべきは何でしょうか?
弁護士事務所を探す?あるいは書類作成をしてもらう司法書士を探す?
どちらも大事なことですが、このブログをお読みの方で債務超過をお悩みの方がいらっしゃいましたら、まずは「借金の状況(=債務状況)」を確認しましょう。
これが債務整理の第一歩です。
借入先の把握(どこから借入しているのか?)
あなたの借入先はどこでしょう?銀行?クレジット会社?消費者金融?はたまた友人・知人?親兄弟や親戚もあるかもしれませんね。
まずは自分の借入先を把握しましょう。
Yahoo!の知恵袋などでは債務整理の質問が多数ありますが、往々にして借入先が不明確な場合も見受けられます。
昔の借金について記録がないとか記憶も曖昧な場合もあるとは思いますが、まずはできる限り思い出してみましょう。
借入額の確認(各債務はいくらなのか?)
借入先を全部洗い出すことができたなら、次は各々の借金(借入額)を確認します。
A社から〇〇万円、B銀行から△△万円・・・という具合に確認していけば、最後には債務総額(借金の合計)が明らかになります。
実はこの債務総額が、この後で検討する、債務整理(どうやって借金を整理するか)のいろいろな方法を決めていくときに重要な要素となります。借金について思い出すのも嫌かもしれませんが、頑張りましょう。
返済額と返済方法の確認(一括払い?分割払い?リボルビング?)
借入先と各借入額(そして借入総額)が整理できたら、次は各借入先への返済方法の確認を行います。
「一括払い」「分割払い」「リボルビング」・・・。返済方法もまた異なります。
ここで確認すべきは返済方法と毎月の返済額です。月次で返済する金額合計を改めて確認してみます。
利率の確認(何%で借りたっけ?)
平成19年(2007年)以前から利用していた金融業者がある場合、利息上限法の上限利息よりも高い利率で利息を支払っていた可能性があります。すなわち「過払い金」です。
過払い金が発生している場合、現在の借金が減ったり、うまくいけばなくなる可能性もあります。さらには過払い金を返還してもらえるケースもあります。
過払い金の有無は重要な要素となりますから各借入金の利率を調べることは、とても重要です。
滞納している先の有無
全債権者(借入先)を洗い出したら、その中に滞納している先があるか、確認します。
もし滞納していた場合は借金に加えて「遅延損害金」を支払う必要がありますので、債務総額も変わってきてしまいます。
一方、5年もしくは10年以上延滞していると「消滅時効の援用」を行って債務を消滅させることができるかもしれません。ですので滞納の有無についても、しっかりと確認する必要があります。
担保と保証人
借金する場合には不動産や自動車の所有権を担保にするケースがあります。特に自動車ローンなどでは「ローン監査まではローン会社に自動車の所有権が残る」契約になっていることが多いです。
もう一つ、借り入れた場合、保証人をつける場合もあります。借金を返せない場合、当然保証人に支払い義務が発生して請求を受けることで迷惑を掛けることになりますから、こちらも契約書で確認する必要があります。
毎月の返済可能額はどれくらい?
債務整理を行う際には「収入からどれくらいの金額が無理なく返済に充当できるか」が重要となります。その金額によって方法も変わってきますから生活費の見直し等を行って「無理なく返済できる(※これがとても大事です)」金額を検討します。
債務整理のうち、自己破産を除く「任意整理」や「個人再生」では返済期間を原則として「3年間(ケースによっては5年間もありますが、ほとんど見当たりません)」としています。
目安としては、債務額を36回(=3年間)で割った金額が債務整理で返済していく毎月の金額となります。
例えば債務額が200万円だったとすると、
200万円 ÷ 36回 ≒ 5万5555円
となります。
つまり、この5万5555円を36回(=3年間)支払いし続けることが可能かどうかを今の収支状況から判断することになります。せっかく「任意整理」や「個人再生」を使って借金返済について債権者と合意を得たとしても、継続的に支払っていけなければ、合意も水泡に帰してしまう、ということです。
保有資産は何があるか?(不動産、自動車、預貯金、有価証券)
毎月の給料以外に自己名義の資産があればこれらを使って返済することも検討しなければいけなくなります。
もし自己破産を選択せざるを得ない場合はこれらの資産を清算することになります。(特に自己破産は「借金をチャラ(=ゼロ)にするわけですから、換金できる資産を目録に整理して裁判所に提出する必要があります)
以上の8点について確認して表などにまとめておくことが必要になります。
そして、これらを以下のような表形式にまとめてみましょう。
【債務総額チェック表】
借入先 | 残高 | 毎月の返済額 | 利率 | 借入日 | 滞納 | 保証人・ 担保 |
|
銀行 | 〇〇銀行 (保証会社 〇〇ファイナンス) |
80万円 | 2.5万円 | 18% | 2016年10月 | 無 | 無 |
△△銀行 (保証会社 △△ファイナンス) |
50万円 | 3万円 | 15% | 2014年4月 | 無 | 無 | |
□□銀行 (住宅ローン) |
2500万円 | 8万円 | 2.55% | 2012年5月 | 無 | 保証人:妻 抵当権 |
|
信販 | 〇〇クレジット | 50万円 内キャッシング: 30万円 ショッピング: 20万円 |
2万円 | 18% | 2013年10月 | 無 | 無 |
△△コーポレーション カーローン |
100万円 | 3万円 | 2013年4月 | 無 | 無 | ||
消費者 金融 |
〇〇ファイナンス | 50万円 | 1.5万円 | 18% | 2017年4月 | 無 | 無 |
△△ファイナンス | 50万円 | 1.5万円 | 18% | 2017年10月 | 無 | 無 | |
親族・ 知人 |
父 | 50万円 | 取り決めなし | 2012年10月 | 無 | 無 |
・・・以上が債務整理の第一歩「債務総額の把握」です。
この債務総額と自分の収入などが明確になったら、債務整理の中のどの方法がベストなのか、専門家(弁護士や司法書士)に相談しましょう。
なお、基本的に任意整理、個人再生、自己破産全てに対応できるのが弁護士です。気を付けなければいけないのは弁護士にも専門分野があることです。離婚や損害賠償を得意とする弁護士もいれば、債務整理を得意とする弁護士もいますので、債務整理を専門とする弁護士)に相談してください。
一方で、司法書士を選ぶのも十分に価値があると考えています。
債務整理を行う上で「1社当たりの債権額(借金および過払い金)が140万円以下」で「任意整理」を基本方針とするなら、司法書士の費用は弁護士の半分程度で済みますので、司法書士に依頼するのが良いと考えます。(個人再生や自己破産では書類作成のサポートに留まります)
上述の基準で債務整理を行うことが出来る司法書士を「認定司法書士」と言います。
ただし、司法書士は弁護士と違って、債務整理を依頼するにあたって、制約事項もありますから、注意が必要です。こちらも、任意整理に強い司法書士に依頼しましょう。
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